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新型コロナウイルス世界的感染拡大と原油価格暴落の関係、覚えておきたい原油にまつわる基礎知識

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、世界中の株価が大きく下落しました。株価の他に大きく価格を落としニュースで取り上げられているのが「原油」です。原油価格は上昇を続けていましたが今回の下落で18年ぶりの安値をつけました。
目次
世界経済に大きな影響を及ぼす原油価格
原油は人々の生活に欠かせないエネルギーの源です。地下から吸い上げたままの状態のものを原油といい、原油を精製する事で石油製品ができます。石油製品は、ガソリンや軽油、潤滑油、灯油などがあります。利用用途は大きく分けて熱源と動力源、原料その他の3つに分類されます。熱源と動力源にそれぞれ40%、原料その他に20%が消費割合となっています。人々が生活する上で欠かせないものが原油なので、原油価格は世界経済に大きな影響を及ぼします。
そんな私たちの生活に欠かすことのできない原油を多く生産している国はどこなのでしょうか?「BP Statistical Review of World Energy 2019」によると、2018年の世界各国の1日あたりの原油生産量は多い国順に、アメリカ(1,531万バレル)、サウジアラビア(1,228万バレル)、ロシア(1143万バレル)、カナダ(520万バレル)、イラン(471万バレル)の順になっています。またアメリカは直近の10年で生産量を倍増させて世界の首位となりました。アメリカが世界で最大の産油国となった要因が「シェールオイル」の存在です。
アメリカを世界最大の産油国にした「シェールオイル」とは?

このシェールオイルは、シェール層と呼ばれる地下深くにある地層から採掘した原油のことです。かつては生産コストが高く市場性がないとされていましたが、2000年代に採掘技術の向上と原油価格が高騰し始め採算が取れるようになったことを背景に開発が進んでいきました。
そしてシェールオイルの主な埋蔵地の1つで開発が進んだのがアメリカで、「シェール革命」という言葉が生まれるほど世界に大きな影響を与えています。世界のエネルギー事情におよぼす影響について、国際エネルギー機関(IEA)は2013年5月に発表したレポートで、北アメリカでの原油生産の急増が、石油企業の投資戦略の見直しだけでなく、原油の輸送・備蓄・精製に変化をもたらす要因となると報告していました。
そして今回の新型コロナウイルスの世界的流行で原油価格の下落により、厳しい局面を迎えている代表がアメリカのオイル関連企業です。石油やガスの生産請負会社であるパイオニア・エナジー・サービシズが3月1日に日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条(チャプター11)を申請。同月16日にトリポイント・オイル・アンド・ガス・プロダクションが、4月1日にはシェールオイル大手のホワイティング・ペトロリアムがチャプター11を申請したことを発表しています。
もともとアメリカのシェールオイル業界は、1バレル=50ドル前後が採算ラインだとも言われています。しかし、今回の新型コロナウイルスの影響で原油需要の大きかった中国経済が停滞し需要が大幅に減少、原油価格が大きく下落することになりました。WTI原油先物の価格は60ドル台から一時期20ドルを割り込み、関連企業の経営が悪化し破綻に追い込まれていという流れです。
OPEC(石油輸出国機構)とは?原油の価格戦争勃発?
原油の価格を回復には供給を減らすこと、つまり原油の減産が必要になります。そのカギを握る組織の1つがOPEC(石油輸出国機構)です。OPECはイラクやサウジアラビアなどをメンバーとする石油産出国の利益保護を目的とした組織で、これに、ロシアや中国などの非加盟国による産出国10ヶ国を加えたものが「OPECプラス」です。
過去にOPECは、サブプライムローン危機においても減産を行い価格の維持に努めたものの、2014年からはイランの石油輸出再開に伴い、在庫過剰状態が続いていました。この状況の打破に2016年11月には非加盟国を含めて減産が合意されています。

そして、2019年7月から2020年3月末までにも協調減産体制が取られていましたが、2020年3月5日から6日にかけて行われたOPECプラスの会合において、コロナウイルスによる経済への影響を受け、減産期間の延長と減産幅の拡大案が提示されました。しかし、ロシアの拒否とサウジアラビアが増産の意思を示したことで、石油の価格戦争という事態に陥っています。
OPECプラスは2020年1月から、日量210万バレルの協調減産を既に実施していました。しかし、コロナウイルスの感染拡大により、世界的に見た原油需要が日量400万バレル以上減少するとの見方が強まり、3月初旬には3月末から6月末までの期間、日量360万バレルにまで減産幅を拡大するとの案が出されています。この案に対し、ロシアがアメリカのシェール企業のシェア拡大を危惧し反発。そして、サウジアラビアもロシアの反発を受けてか、日量970万バレルまで抑えていた生産量を4月から1,000万バレル以上の水準まで引き上げる方針を示し対抗しています。またサウジアラビアはロシアの協調体制への反発と、次期国王とされるムハンマド皇太子が権力を強くしたことにより、自らの主張であった「原油市場のシェア拡大」のために増産の意思を提示したなどの理由がと考えられます。
OPECの4月9日の発表によると、同日に開催されたOPECプラスの会合で、メキシコ以外の参加国の間で5月1日から6月末まで2カ月間合計日量1000万バレルの減産を行うことで合意しています。また7月1日から12月31日までは800万バレルの減産、2021年1月1日から2022年4月30日までは600万バレルの減産を行うこで合意したと発表、長期的に生産量を抑える方針となっています。
その後4月12日にもOPECプラスの会合が開催され、最終的に5月1日より2ヶ月間、日量970万バレルの減産で合意に至りました。また2ヶ月に当たる7月1日から12月31日までは日量770万バレルの減産にも合意されています。
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