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新型コロナの影響いつまで?世界経済見通し下方修正を発表したIMFとは?

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で停止していた経済活動が徐々に再開するなか、世界の感染者数は依然増加しています。世界保健機関(WHO)は、近く感染者数が1000万に達する見通しを明らかにしています。
そこで気になるのが世界経済の行方です。国際通貨基金(IMF)は6月24日、最新の「世界経済見通し」を発表しました。今回の発表で、2020年の世界経済の成長は-4.9%と、4月の発表からさらに1.9ポイント低い予想になりました。そこで今回は、国際通貨基金(IMF)とは?どういった役割があるの?といった質問に答え、そしてこのほど発表された「世界経済見通し」の内容について解説していきます。
IMF(国際通貨基金)とは?
まず「IMF」がどういった組織なのかをこれ機に理解しておきましょう。ニュースでも耳にすることがあると思いますが、IMFは日本語で国際通貨基金のことで、世界中の通貨や為替相場の安定を目的とした機関です。
IMFは国際通貨システムの安定とさまざまな危機を予防するために、世界各国の経済と金融の情勢をチェックしています。そのため今回紹介している「世界経済見通し」といった世界経済の中長期的な予測も発表しています。
その他にもIMFは経済危機を迎えてる国への融資なども行っており、世界の経済状況をみながら、加盟国に対して金融対策などのアドバイスも行っています。例えば2010年の財政赤字の隠ぺいが明るみになったことがきっかけで発生したギリシャ経済危機の際に、IMFはギリシャに対して年金や税制の改革など行うことを条件に融資を行いました。
IMF2020年6月「世界経済見通し」
それでは、IMFがこのほど発表した「世界経済見通し」の内容を見ていきます。まずIMFは、4月の「世界経済見通し」と比較して、2020年の景気後退がより深刻なものとなるとの見方を示しています。今回の発表で2020年の世界経済の成長は-4.9%と、4月の数値よりもさらに1.9ポイント低い予想になりました。
また新型コロナウイルスの危機によって、2020-21年の2年間で世界のGDP損失が12兆ドル(約1,280兆円)に達するとの試算も出ています。それでは国別の成長率を見てみます。
- 中国:1.0%(1.2%)
- 日本:-5.8%(-5.2%)
- 米国:-8.0%(-5.9%)
- ユーロ圏:-10.2%(-7.5%)
- ブラジル:-9.1%(-5.3%)
- メキシコ:-10.5%(-6.6%)
*()内はIMF4月発表の数値
世界的な成長率予想はこのようになっています。やはり感染者も多くロックダウンなどの措置を取っていたアメリカとヨーロッパで大きなマイナスとなっています。先進国の中では、日本の数値は比較的悪くないようにも見えるかもしれません。
また5月から6月にかけて感染者数が急増した南米は4月時点の予測値から大きく下げ、ブラジルで4月から3.8ポイント低いマイナス9.1%、メキシコは3.9ポイント低いマイナス10.5%となっています。
IMFはこれらの数値に要因に関して、2020年前半のロックダウン中による経済へのダメージが予想以上に大きかったことと、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の確保の長期的な継続を反映した結果だとしています。
今後の見通しについては、結局のところウイルスをどう対処するかにかかっているようです。ワクチンと治療薬に関する進展などによって経済活動の再開がより早まるといったポジティブな可能性と、第2波など感染拡大によるさらなる経済活動の鈍化といったネガティブな可能性の両側面があり、予測には高い不確実性があるとしています。
やはり現状で一番危惧されているのは、第2波による感染者増加によって再度ロックダウンされるリスクでしょう。経済活動が復旧してる際にもう一度ロックダウンとなれば、経済的被害はさらに拡大する事が予測され、世界経済の先行きは依然不透明なままと言えるのではないでしょうか。