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日銀が新型コロナ対応の金融政策の維持決定、知っておきたい政策金利とETFの基礎知識

日銀が6月16日、新型コロナウイルスの対応を含む当面の金政策について発表しました。今回の発表の主なポイントは2つあります。1つ目が「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」で、2つ目が「ETFやJ-REIT、社債の買い入れ」です。今回は、この2つのポイントについて日銀の狙いなど分かりやすく解説していきます。
日銀のマイナス金利政策とは?
まず前提として日銀は今回発表した金融政策で、企業への資金支援と市場の経済的安定を狙うことを示しています。簡単に言うと新型コロナウイルスの影響で不安定な経済をお金を供給することで安定させることとなります。
1つ目の「長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)」についてですが、日本の政策金利(短期)はマイナス0.1%、長期はゼロ%程度で推移することを目標としており、今回はそれを維持することが決まりました。まず政策金利について説明します。
政策金利とは、日本銀行が設定する短期金利のことで、民間の銀行と日銀の間の金利です。皆さんが直接やり取りするわけではありませんが、金融機関の金利(預金や貸出)に大きな影響を及ぼします。好景気の場合は金利を上げてお金の流れを鈍らせ、逆に不景気の場合は金利を下げてお金の流れを加速させます。
日本は2016年以降この政策金利がマイナス0.1%でした。そして今回も日銀は、政策金利をマイナス0.1%で維持するという決定を下しています。このニュースなどで耳にする「マイナス金利」ついて簡単に説明します。みなさんが普段利用している民間の銀行は日銀にある程度の資金を預けています。通常の金利政策だと、民間銀行は預けている資金に対して利子を受け取ることができます。しかしマイナス金利政策の場合、民間銀行はお金を預けているのにも関わらず日銀に対して利子を支払わないといけなくなります。
お金を預けているだけで利子を支払うことになる民間の銀行は、利益を出すために投資や企業への貸し出しに資金を回すようになり、結果として世の中に流れるお金の量が増えることになります。
日銀が積極的な買い入れを行うETFとREITとは?
2つ目の「ETFやREIT、社債の買い入れ」についてですが、今回はETFとREITについて紹介します。日銀はETFとREITを積極的に購入する方針をで、ETFは年間12兆円、REITは1,800億円の残高増加ペースを上限に積極的な買い入れを行うことを発表しました。それでは、ETFとREITについて順に説明していきます。
ETFは上場株式投資信託のことで、日経平均株価やNYダウなどの指数に連動するよう運用されている投資信託のことです。ETFにはさまざまな種類があります。例えば日経平均のETFを買うと、日経平均を構成している225銘柄に投資しているのと同様になります。
それでは日銀はどのようなETFを買っているのでしょうか?4月30日の発表によると、日銀が主に購入するのはTOPIXに連動するETFだとしています。TOPIXとは東証株価指数のことで、東証一部に上場している全銘柄を対象とした株価指数のことです。つまり、日銀は日本の大企業の株を間接的に買っていくことになります。また、日銀が今年行ったETFの買い入れ額は既に4兆4,000億円を越え、昨年1年間の購入金額を超えたと報道されています。
それでは次にREITについて説明していきます。REIT(リート)は一般的に「不動産投資信託」と呼ばれるものです。その名の通りREITは投資信託の1つで、投資家から集めた資金をビルやマンションなどの不動産を購入し、賃貸収入や不動産の売買による利益を投資家に分配するというものです。日銀はETFとREITの日々の買入れペースを公開していて、公式ページから確認できるようになっています。
日本では新型コロナウイルス感染拡大防止のたのさまざまな自粛から、少しずつ経済活動再開へシフトしながらも、世界では南米での感染拡大や中国の第2波など新型コロナウイルスは依然として猛威を振るっています。そんな状況を踏まえて日銀は、「新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」と状況によっては追加の措置を取るつもりであることも明らかにしています。